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特別対談企画①

​Mr.Tamura × Ms.Kobayashi

​はじめに

本企画は現役生とオープンジャッジの接点、関わる機会が極めて少ないことを疑問視したのがきっかけで企画しました。本企画では、ジャッジ方がスピーチに何を求めていて、どう考えていらっしゃるのかを対談形式でインタビューを行っています。これを読んだ方は是非、自分のスピーチに存分に活かしていただきたいです。

 第一弾である今回はなんと、田村直樹さん、小林みゆきさんの豪華すぎる御対談です!!大会運営方法や、あのレジェンドスピーカーの名も!?必見すぎて各大学オブリゲにしてほしい。笑

PROFILE

田村 直樹 様

ご趣味 ゴルフ

好きな食べ物 そばうどん

図2.png

小林 みゆき 様

ご趣味 水彩イラスト​/面白い事や幸せにしてくれるネタ探し

好きな食べ物  原宿・瑞穂の豆大福

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記事の最後ではお二人のおすすめスピーチも掲載させて頂いていますので必見です!!
​また、小林様は江古田にて『ありがとう展ーことりと花 ことばと私』個展(9月29日~10月25日)を開催中とのことです!「近くの方見に来てね」とのことですのでお時間のある方はぜひ!!!

インタビュー本文

Q: これからオンラインでスピーチをする機会も増えますが、アドバイスはありますか?

田村: オーディエンスの反応を気にして画面を見るのではなく、カメラに対して語りかけることはひとつですね。オーディエンスはそちらのほうが、自分に対して語りかけてくれていると感じられるので。あとは、大袈裟にボディランゲージを取らないほうがいいと僕は考えますね。むしろ表情がはっきり見えるので、そこをアドバンテージとして使うといいと思います。ストーリーテリングなどでは特に表情が重要になってくるので。コンテンツ等はオンラインだからといって変える必要はないと思います。画角としては、上半身が見え、時折ハンドジェスチャーが見える位置を保つのが一番いいと思います。前後の動きも使えるので、自分の主張を伝えたいときはぐっと前に寄るのもいいですね。

 

――オンラインのカメラ技術を制した者が強くなっていくかもしれないですね。

 

田村: カメラ使いに関してはYouTuberなんかがプロだと思うので、彼らがどう映像を作成しているのか研究してみてもいいですね。

 

小林: 中田大学というのが私は大好きなんですけれども、あの人は興味のない人たちをどう引きつけるかを意識して話しているそうです。お笑いから来ただけあって人の心を掴む方法を熟知していると思うので、とても勉強になると思います。

 

田村: あの人は例え話が上手いので、知らない人でもスッと理解できますよね。彼のattention grabberとしての技術なんかはスピーチを作る上でも参考にできる部分もあると思います。まずは興味を持ってもらえないと。「この話はあなたにも関係のあることで、とても有益な情報ですよ」というメッセージを伝え、例え話を散りばめて飽きないようにするというのは大事ですよね。

 

Q: お二人はいつ頃からESSの大会のジャッジをされていますか?

 

小林:私は2000年のチャーチル杯が最初でした。一番最初はトーストマスターズのイノウエトシユキさんに誘われて大会観戦に行っていたんですけれども、そのうちにお声をかけていただいて。

 

田村:僕は多分2011年くらいからだったと思います。一番最初は上智大学の大会でしたね。トーストマスターズの東さんという方がいて、その方のピンチヒッターとして仕方なく行ったのがきっかけです。そのとき初めて大学生のスピーチを聞いて、社会問題を取り扱ったものが多いなと感じました。みんな結構型にはまっていて、ロジカルに作られているなという印象はありましたね。あとみんな英語がうまいなというのは感心しました。

画像3.png

Q:昔と今を比較して、違いはありますか?

 

田村:僕の感覚で言うと、10年前と比べてそんなに変わっていないなとは思います。ただし、Value Speechが少しずつ増えてきたんじゃないかと思いますね。TED TalkやToastmastersでもみられるように、自分の経験を通した価値観の変容をシェアしたいという人が増えてきたのではと考えます。Value Speechはハマると勝ちやすいものではあると思います。ジャッジも共感をするとどうしてもその人を評価してしまうので。自分の経験を絡めて社会問題へのアプローチを模索するのもいいなと思いますけれど、同じくらいのクオリティだと、個人の経験の方にジャッジも感情を持っていかれてしまいますね。だからといってSocialが不利かというとそうではなくて、きっちりと論理立てて、「自分だからこそこのSolutionにたどり着いたんだ」という裏打ちがあればすごく強力なスピーチになると思います。

 

小林:私からみても、そんなに変わった印象はないですね。ただ最近のほうが、少し型にはまったスピーチが多い気がします。ESSのスタイルというのが見え隠れする瞬間はありますね。あとは時代の流れなのかもしれませんが、情報量がとにかく多い。人間の頭では7~8分のスピーチで覚えられることはたかが知れていると思います。だからキーポイント、キーメッセージがしっかりしていて、心に響く。そういうスピーチに心を動かされるというのはあると思います。繰り返したりして印象づけるスピーチが私は好きです。あとはもっとチャレンジして、自分らしさをもっと出したスピーチをしてもらいたいなと思います。みんなが似たようなスピーチの中にあると際立って見えますね。

 

――ただ、個性的なスピーチになるとジャッジングクライテリアに沿わず、評価されにくいのではという風潮もあります。その点はどうお考えでしょうか。

 

田村:そこは運営側のコンセプト提示をもっとクリアにしたほうがいいんだろうね。日本にはオープン大会が色々ある中で、もっと違ったコンセプトがあってもいいと思います。それが曖昧だったりすると、なんとなくこんな感じのスピーチが選ばれやすいんだろうなという風潮が学生の間で無意識に形作られてしまって、とんがったスピーチを作るのを控えてしまう傾向があると思います。学生の皆さんは、自分のやりたいスピーチ、なりたい自分になるためのステップとしてのスピーチ、自分のそれぞれ違う世界観を持っていると思います。そういった点を思う存分発揮することを許容した大会コンセプトがあってもいいと思います。そこは運営が予選原稿提示の際に、比重やクライテリアを明確にして、色を変えた大会を作るのもいいのではないでしょうか。

 

――現状でもコンセプトはそれぞれ打ち出しているんですけれども、ジャッジングクライテリアを見ると、そこまで差異はないことが多いですね。

 

田村:コンセプトを独自の色に染めようとしても、どうしてもごく当たり前のポイントを最低限押さえないと、ジャッジングクライテリアが成立しないので、どうしても基本にまとまってしまいがちなんだろうね。

でも過去に、ユーモアやスピーカー自身の経験に比重を置いている大会なんかもありましたね。

 

 

 

Q:今までで印象に残った大会やスピーカーはいかがですか?

 

田村:大会でいうと、ウィリアムズ杯ですね。

ウィリアムズは常にエンタテインメントを軸にしていて、常にスピーカーのステージの使い方や演出にもこだわって、オーディエンスとスピーカーの両方が楽しめるinnovativeな大会だと思います。

コンセプト作りという点でいうと、三上杯は凝ってますね。毎年よく考えられた、工夫したコンセプトを出しています。

 

小林:コンセプトでいうと法政もすごく頑張っていて、毎年楽しみにしています。出た大会の話しかできないけれど、青学なんかもおもてなしのトップレベルという感じがしますね。印象に残っているスピーチについて、今パッと思い浮かぶのは立教の男の子の、Normalcy biasについてのスピーチです。残念ながら賞には入らなかったんだけれども、大会後にじわじわと内容が入ってくるという面白い経験でした(笑) もう一つは、トリリンガルになろうというスピーチ。シンプルな感じがするんですけれども、passionateで、デリバリーで最後まで観客を惹きつけて離さなかったですね。満場一致で優勝でした。

 

田村:デリバリーで本当に上手いなと思ったのは葛島里咲さん。東大杯で僕がQuestionerをしたときで、Why am I Angryというスピーチです。展開も素晴らしかったです。表情だけで引き込まれるなと思ったのは植木日奈子さん。彼女は手話もされていて、天性のものもあるかもしれないですけれども、表情がどれだけ心を惹きつけて、信頼を与える武器になるかというのを思い知らされましたね。テクニック的なところでいうと、うまく比喩を使えると言う点で久保田雄也さんのワインのスピーチ。Bouquet Insideというタイトルですね。Structureでいうと、予選で見た有馬果歩さんのWeak Ties Keep Us Aliveが飛び抜けて完璧でしたね。聞き手が聞きたいことと次に来るものの関係が対話のようになっていて、それが印象に残っていますね。一回も迷子にならずに聞けました。あとは山下心子さんのInvincible Strategyですね。展開の素晴らしいスピーチで、一本の映画を観たような気分でしたね。いいスピーチには共通する部分があって、それはまず自分の物語だということですね。自分自身の価値観がどう変わったのかが軸にあるのが基本なんですよね。だからこそ辿り着いた綺麗なソリューションが提示されている、だけど自分だけの問題ではないという。大きな社会問題を捉えるのは難しいんだけれども、ある程度カテゴリー分けして細分化するとやりやすいかもしれないですね。そこのイシュー設定の問題ですね。

 

小林:やっぱり個人の体験談というのは大事ですよね。それがないと何か欠けている感じになっちゃう。

Q:ジャッジするときに重視する点はありますか?

 

田村:まずは、わかるかわからないかという基本的な話ですね。

英語のスピーチになるので、どうしてもみんな早口で喋るんですよね。英語のうまさを競っていると勘違いしている人が多いのかもしれないけれど。自分は練習して、スピーチの次の展開がわかっていると思うのですが、自分に語りかけているようなスピーチになってしまうと、聞いている人にはわからない点が出てくる。基本的なところだけれども結構重要で、しっかりと聞いている人にちゃんとわかってもらえるというところが第一ステップ。

なので、わかってもらうためにありとあらゆる手段を使ってほしいんですよ。スピードコントロールとか、今ちょっと噛んだなって思ったら言い直しても全然いいですよ。原稿書いてる中で、ひょっとしたらわからないかなと思うポイントはあえてスローダウンさせて、しっかりとポーズも取る。オンラインでは難しいかもしれないけれど、オーディエンスの反応を見る。首を傾げて難しい反応をしている人がいたらもう一度言えばいい。それには原稿を作る段階でのワードチョイスにおいてもみんながわかるものを心がけることが大事です。

 

――わかってもらう原稿を作るには、どういったことを意識すればいいと思いますか?

 

田村:英語ということになるので、ネイティブの人に読んでもらうこと、きちんとした発音とスピードとボーカルバラエティができるように練習することが必要ですね。

 

小林:私は5つ考えてきました。

1つは、そのスピーチを聞いた人がアクションを取れるかどうか。

あとは、わかりやすいか。聞いていて同時に情景が描けるものが聞いてて楽ですよね。データや数字をいっぱい言われると、その時点で意識が途切れちゃうんですよね。だから流れに沿ってわかりやすいというのは大事だと思います。

3つ目は、自分の言葉になっているかどうか。大きな単語を使っちゃうと、本当に自分の言葉になってるかな?っていうのがあるので、自分の言葉にして伝えているかどうか。

4番目はパッション。それがどれだけ言葉に乗って、スピーチとして伝えられてるかどうかですね。

最後は、キーメッセージ。私は毎回言っているんですけれども、キーメッセージをあとでどれだけ覚えていられるか。簡単な言葉で残っているスピーチはいつまでも覚えていられるので、それを残せるスピーチかどうかは私の中でポイントになっています。

Q:スピーチを書くとき、トピックのアイディアはどういう風に見つけられていますか?

 

田村:スピーチを書くときに一番最初に考えるのは、自分自身が一番成長した瞬間。つまり、人って価値観がアップデートされるじゃないですか。考え方、それから生き方とか。それでいつ自分自身が人間として成長したかなって考えると、絶対に何か大きな失敗をしたとか、恥ずかしい思いをしたとか、挫折や失敗の中に必ず人間の成長があるじゃないですか。だからまず最初にそういうところに自分は思いを飛ばしますね。例えば”Pinch Hitter”をしたときも、インターン先で失敗をした思い出があるというところから始まって、それを題材に載せます。そしてそこからこういうことを学んだと。学ぶということは、価値観のchangeなんですよね。自分自身は以前Aという価値観を持っていたけれど、一連の出来事があって自分はZという価値観に変わったという、こういう物語をくり抜いてメッセージとして伝える。AからZに変わった、というのはそのままメッセージとパッケージとして使えるので、それを原液として色々と調合してスピーチを作り上げることが多いですね。失敗談の中では笑いが結構取れるので。この人がこんなしょうもない人だったんだ、自分と一緒だと思ってもらえることが、オーディエンスとの繋がりになるので、失敗を思い切り曝け出すことがstorytellingの核心なので、それをやってほしいですね。笑い話にして、最後のメッセージに繋げるというのが、クオリティの高いスピーチを作るコツですね。

――ユーモアを取り入れるコツはありますか?

 

田村:言語化できるものでもないような気がしますね。起こった出来事をそのまま言うっていうのが一番近道かもしれません。人間にとって一番簡単なのは自虐ネタだと思います。自分が自信満々でやってきたことと周囲が思ってることが違ってたってとこからみっともない経験をしたとか、とにかく恥ずかしい、思い上がっていた経験とか。隠そうとしていたことが明るみになったとか。人間の見栄と周囲のギャップとかがあると思うので、そういうところが笑いに繋がるのかなって思います。

 

小林:自虐が一番無難というのは、どのユーモアの本にも書いてあります。誰も傷つけないでしょ?それから最近「笑いの力」っていう本を読んだんだけれども、河合隼雄さんが言うには、欧米人が「個」の存在を見せるために、何かジョークを入れなければならないっていうのがあるんだって。日本人は「みんな一緒」というところから始まるので、ジョークではなく謙遜から始まるんですって。だから国民性はすごくあるんだよね。だけどスピーチは英語で喋っているわけだから、国民性ではやっていけないでしょ。だから欧米のスピーチから学んでいけば、ユーモアもやっていけるんじゃないかなと思います。

 

田村:TEDスピーカーなんかは、もうオープニングからキャッチーにするのがすごくいまいなと思って。例えばオーディエンスに対して、「笑っていいですよ」っていうサインを出すのがすごく大事だと思うんだよね。ESSの中には深刻なスピーチが結構多いじゃないですか。TEDの中にフィル・ハンセンさんという方のスピーチがあります。彼は画家で、ある日手が震える病気にかかってしまって。画家としては致命的なんですけれども、手が震えることでインクを振るのに便利だとか、写真を乾かすのに便利だとか、一緒に笑いましょうねというサインを最初の方に出してオーディエンスをリラックスさせて話を進めるというのもテクニックですね。

 

小林:あと日本人は笑いのハードルがちょっと高いんですよ。だから最初にほぐすのはすごく大事。ただスピーチのコンテスト自体が堅いじゃない? だからそこから柔らかくするのもいいのかもしれない。

 

田村:あの雰囲気の中で笑いを取りに行くのは勇気がいるよね。笑 だから環境の面で運営側は一工夫必要かもしれないね。

 

小林:オーディエンスっていうのはすごく大事ね。ほとんどの大会はウィリアムズほどたくさんは来てくれないじゃない? だからこそ頷いて聞くとか、前のめりになって聞くとか、傾聴の力ってすごく大事だと思うから、スピーカーを盛り上げるのもオーディエンス次第だと思うのね。オーディエンスも成長していかないといけないなと思います。

 

田村:制度設計の点でいうと、英語のパブリックスピーキングとして、オーディエンスにしっかりと伝えて、オーディエンスもしっかりと聞くっていう環境づくりとして、原稿を事前に渡さないっていうのもいいんじゃないかと思います。予選では原稿を読んでしっかりとジャッジをしてもらう。でも本番では、提出した原稿通りにやらなくても、思い切りアレンジをして、その場に応じたスピーチをした方がいいと思うんですよ。原稿がない方が、一発勝負で語りかけられる。この制度へのシフトもありなんじゃないかと思います。

 

小林:確かにそれが本来の形だと思うんですよね。ただジャッジをするときにあとで細かい部分を話し合うじゃないですか。そのときにしっかりと見てあげたいと思うので、私は事前に読み込んでいくんですよね。昔、全く原稿を読まずに本番に臨むタイプのジャッジさんと一緒にやったんだけれども、やっぱり読み込んできた人と評価が全然変わって、難しかったですね。ただToastmastersはその方式でやっていて、ジャッジングクライテリアもESSほど細かくないんですよね。だから、原稿を事前に読み込まない形式でやるなら、ジャッジングクライテリアももっとシンプルにするべきだと思います。ただそうなると、細かいアドバイスがしづらいんでうしょね。

 

田村:それは本当に大事ですよね。オープン大会はコンテストであると同時に教育的な視点もあるので、スピーカーの成長課題をアドバイスできるかが大事になると思うので。そうなると、小林さんのいう通り原稿はあった方がいいかもしれませんね。

 

――Toastmastersにもジャッジングクライテリア自体はあるんですか?

 

小林:あります。でもToastmastersの場合は、あとから細かくアドバイスをする機会はないものね。全体へのフィードバックとしてアドバイスはするけれど。でもひとつそういう大会があってもいいと思う。

 

田村:さっきのジャッジの基準に戻るんですけれども、「リーダーとして、この人についていきたいか」というのが僕の中のhidden agendaとしてあります。この人に共感と信頼をどこまで覚えることができたのかっていうのがすごく大事になってくるんですよね。Socialについては、最後のメッセージの行動をスピーカーが先導し、オーディエンスがついていけれるかどうかをすごく見てます。Valueにおいても、メッセージを聞いてスピーカーに信頼を置き、オーディエンス自身が行動を起こせるかどうか。そこが最終的に重要になってくるんですよね。得点云々ではなく、そこで心を揺さぶった人が、最終的に勝つべきなんだろうなと僕は思います。

 

小林:最終的にジャッジ同士がが話し合ったときに、それぞれ評価が全然違うことがあるじゃないですか。それはおかしいことじゃなくて、やっぱり誰が一番になってもおかしくないレベルの人たちが選ばれて来てるわけですからね。そうなるとやっぱり点数から外れたところで私たちは決めてるんですよね。ジャッジングクライテリアは二の次になっちゃうことが多いです。

Q:最後に、現役生にアドバイスやメッセージをお願いします。

 

小林:スピーチのトピックを探すことはすごく大変だと思います。でも日々の生活の中で、自ら行動範囲を広げて、好奇心を持っていろんなものに挑戦していけばいろんな体験ができて、いいスピーチの材料を見つけることにつながると思うんですよね。TED talkなんかでも、単に面白い話が聞けるだけじゃなくて、いろんなスタイルのスピーチを見ることができていい勉強になると思うんです。あとは自分の興味の持てそうなトピックを探して、気に入ったら何回でも聞いて、ESSスタイルじゃなくて自分のスタイルを見つけてほしいなと思います。勉強の仕方は無限にあると思います。若いうちしかできないこともいっぱいあると思うので、いろんなスタイルに挑戦してほしい。

 

田村:じゃあ僕からは3ついいですかね。

1つは、トピック選び。世の中いろんな社会課題や自分の価値の変化があると思うんですけれど、今の世の中って、ソリューションが溢れているんですよね。むしろ課題を見つける能力がすごく重要になってくるんですよね。だからどういう風に課題を見つけるのかっていう点が直接トピックにつながるので。普段から新聞を読んだり、ディスカッションのセクションに顔を出して勉強するのもいいかもしれません。とにかく世の中に目を向けて、これからどんなことが社会課題になりうるのか。またはこれからどういったものが人間の価値となるのか、注目を浴びるのかというトレンドを見て、自分のスピーチトピックを見つけてほしいなと思います。イシューを見つけるという入り口が大事だと思うので。

2つ目が、行動を起こしてくださいということですね。行動を起こさないとスピーチは作れません。行動の結果としてスピーチが出来上がるんですよね。少しでも興味があることがあったら、旅に出てください。例えばテレビで面白い話題があったら、直接コンタクトをとってみたりして、現場で何が起こっているかという第一次情報を集めて、そこから自分の思いと掛け合わせてスピーチを作ることが必要になって来ます。

3つ目は、スピーチの作り方についてです。最近のスピーチは型にはまっていると言う話もありましたが、やはり型って大事なんですよ。世阿弥の言う守破離のプロセスでいえば、PHCSとか、モンローの5 steps to motivated sequenceっていうのがあるんですけれども。これはまずattentionをとって、そしてneed(課題提起)、satisfaction(こういうsolutionで満たされますよという点  why me)、visualization、call to actionというステップです。こういった基本的なアクションをしっかり踏襲するというのが大事なんだけれども、そこから守破離の離で自分なりにアレンジをして自分がやってて楽しいスピーチをやるのがモチベーションになるんじゃないかな。最終的には自分自身がオーディエンスです。相手にわかってもらうのは大事ですけれども、大学生の段階では自分のやりたいことを思い切ってやるという考え方でいいと思います。社会人になってクライアントのニーズを汲む、というのはその先にあるものなので。

(文/上田麻友佳  編集/西村健・伊東陽生)

インタビュアー感想(西村健)

ただの僕の思いつきで始めた企画ですが、インタビューを終えてみて、「これ企画して本当に良かった!」と思えました。お二人の意外な考えや、さすが!としか言いようのない知識、を伺うことができ、終始楽しく、感心させられっぱなしでした。少しでも現役生のスピーチ活動の足しになっていれば、とても幸いです。改めて、ご協力していただいた田村さん、小林さん、本当にありがとうございました!!

​【特典】お二人のおすすめスピーチ

田村 様

https://youtu.be/jSdcV-cMnDU (“Pinch Hitter”  Tamura Naoki)

小林 様

・Procrastinator で”笑い”を求めるあなたにお勧めのTED TALK 2本   

Tim Burban ”Inside the mind of a master procrastinator"  

Adam Grant "The surprising habits of original thinkers”   

・happy な毎日を過ごしいあなたにお勧めの TED TALK

Shawn Achor "Tha happy secret to better work"

 

・環境問題を真剣に考えているあなたにお勧めのTED TALK  2本

Greta Thunberg  "The disarming case to act right now"   

Lauren Singer "Why I live a zero-waste life”

 

・会話上手になりたいあなたにおすすめのTED TALK

Celeste Headlee "10 ways to have a better conversation"

 

・自信のないときでも自信に溢れる方法を知りたいあなたにおすすめのTED TALK は

Any Cuddy "Fake it till you make it"

 

・My all-time favorite speech is:

 Steve Jobs " Commencement address at Stanford University in 2005"

本記事は以上になります!最後までお読みいただきありがとうございました!

​よろしければ今後の企画改善のため、アンケートにご回答下さい。

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